あまり耳慣れない作業「特殊清掃」とは、どんな作業を請け負うのか、その作業内容や依頼の増える時期など、特殊清掃の基本的な情報をまとめました。
「特殊清掃」とは清掃業の一形態で、「事件現場清掃業」とも呼ばれています。
事件や事故、自殺、孤独死、孤立死などは周囲の方に気づかれにくく、長い時間を経過して遺体が発見されることがほとんどです。
遺体の発見が遅れることで、腐敗や腐乱によって室内はかなりのダメージを受けるため、部屋の原状回復や原状復旧が必要となります。
特に多いのが、ひとり暮らしの方が自宅で病死するケースや、自殺・事件に巻き込まれての突然死です。
ひとり暮らしの高齢者が亡くなった場合、数日から数週間、数ヵ月経過して発見されることもあり、遺体周りの汚れや、部屋の隅々まで染みこみ腐敗臭など、部屋が凄惨な状況となることはよくあります。
また、自殺や事故による突然死は、遺族の方の悲しみも強く、とても現場の清掃などをできる状況にないことがほとんどです。
このような現場では、一般的な清掃作業で済ませられることはまずなく、遺族だけではとても対処ができません。
普通の清掃作業で対応ができない部屋は特殊清掃で原状回復し、管理会社や大家に明け渡すことが必要です。
現場の状態によって作業は異なりますが、一般的に行なわれている特殊清掃の作業はだいたい次のとおりです。
部屋の空間に漂う細菌やウイルスを死滅させるため、専用酸化剤などを散布します。これによって遺族の方が安心して入室できるようになります。
血液や体液、腐敗液、汚物などで汚染された布団や畳などを撤去、およびクリーニングします。
特に腐乱が進んでいる場合、不衛生害虫が大量に発生するケースが多くあります。ウジやハエなどを適切な薬剤を用いて駆除・再発防止を行ないます。
作業中には多くの不用品が発生します。特に液体が染み付いたベッドや畳、布団などは廃棄することがほとんどです。家庭ごみから大型ごみまで、さまざまな不用品を処理、処分します。
想い出の品や貴重品は、不用品とは別に仕分けていき、故人の遺品を整理します。使用できる物はそのままリサイクルとして買取を行なったり、バイクや自動車の廃車手続きなどを代行してくれる業者もあります。
消臭作業をしても、長い間放置された遺体が発見された周辺ではリフォームが必要となるケースがほとんどです。畳み受けの板や床材の内部まで液体が染み込んでいる場合、内装工事を行なうことで形跡をなくすことができます。
特殊清掃はどの季節にも依頼がありますが、特に気温が上昇してくる5月の大型連休の頃から、特殊清掃の依頼が増えてくる業者が多いようです。
その大きな理由のひとつは「臭い」の発生です。
遺体の腐乱が進んでいる場合、かなりの腐敗臭が生じることが多く、その臭いによって異変に気づき、遺体を発見するケースがあります。
発見が遅れると、冬の時期では5~7日かけて腐乱が進むのに対し、夏の時期はたった2~3日と差があります。
そのため夏の依頼が多くなるのです。