特殊清掃が必要になる一番の原因として、近年注目されている孤独死について、おもに賃貸物件にスポットを当て、その実態と予防策を解説します。
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通常の清掃では対応できないような、汚れのひどい事故物件の清掃を行なう「特殊清掃」は、残念なことに、近年必要となるケースが増えてきています。
その理由のひとつが孤独死の増加です。
以前は入居者と連絡が取れないなどで警察から連絡があっても、旅行に行っていただけ、寝ていただけというケースが多かったのに対し、現在は孤独死してしまっているケースが増えています。
ここ数年孤独死の数は、東京23区だけでも2003~2007年の1.4倍にも増加しています。
賃貸物件の大家からも孤独死が起きないかどうかを心配している声が多く、不安を持っていると答えた方がなんと8割と、とても多いようです。
そのなかで実際に孤独死を体験した大家は5%ほどですが、今後は高齢化社会に伴い、さらに増えていくと推測されます。
実際に孤独死が起きた場合、賃貸物件の大家の不安は費用に関する問題です。
部屋を原状回復させるための特殊清掃費を含め、事故物件のうわさが流れてなかなか借り手がつかなくなってしまうこと、家賃を下げることで損害がでてしまうことが挙げられます。
遺族が契約解除や明け渡し、遺品整理、原状回復までを、しっかり行なってくれればよいのですが、相続人自体がいない、相続放棄で交渉相手がいない場合、大家側の費用負担がとても重いのです。
孤独死が起きるリスクが高まる近年は、大家側もそのリスクに備えなければいけません。
最近はリスクヘッジのための保険があり、孤独死が起きた場合に原状回復費や未収家賃などを補償してもらえます。
孤独死が増えるということの余波として、遺族の相続放棄という事例が増えています。
というのも、遺族側も突然の大きな費用負担が発生するため、支払うことができず、遺体の引き取り拒否だけでなく、事後処理の費用負担も拒否することが少なくないのです。
孤独死の発生は、大家にとっても遺族にとっても、負担がかかるため、できる限り予防策を取り、防ぐようにしたいものです。
孤独死を予防するには、まず成約時や更新時に身元の引き受け人や戸籍謄本などを提出してもらい、緊急連絡先を確保しておくことが肝要です。
高齢者が入居したあとは、定期的にポストや電気の使用量の確認をするのもよいでしょう。
さらに設備費用はかかるものの、一日に一定数のトイレ使用回数や冷蔵庫の開閉がない場合、セキュリティー会社に通報するというシステムもあります。
ほかにも、定期清掃業者や設備点検業者に依頼し、異変を感じた時に報告することを徹底させるだけでも効果があります。
身内の方の場合は、なるべく連絡を密に取ること、またおかしいなと思ったら管理会社や大家に連絡をしてもらうことが大事です。
ご近所付き合いが薄れてきている近年では、孤独死をさせず、早く発見するのはとても難しいものです。
コミュニティーの形成や人とのつながりも、これからの孤独死対策の課題となっています。