生きることに興味をなくしてしまう「セルフネグレクト」が孤独死やゴミ屋敷の原因になっているといわれています。セルフネグレクトとは何か、またその特徴と傾向などを知っておきましょう。
孤独死(孤立死)は65歳以上の高齢者が多く、さらにその8割がセルフネグレクト(自己放任)によることが原因で起こっているといわれています。
セルフネグレクト(自己放任)とは自分自身に関心がなくなり、人間関係を拒否したり日常生活をおろそかにしたりするなど、生きること自体に興味がなくなってしまうことです。
以下の症状が見られたら、セルフネグレクトの疑いがあります。
このようなセルフネグレクトは、ゴミ屋敷や孤独死(孤立死)と密接な関係があります。
普通の生活を送っていてもゴミはでますが、片づけようという気持ちや、ゴミを溜めたら汚いという気持ちがあるため、正常な感覚であればゴミ屋敷にはなりません。
しかし、セルフネグレクトの方は精神的に不安定でゴミを片づけることができず、部屋中を埋め尽くすほどのゴミの山ができても捨てることができないのです。
こうしてゴミが溜まった部屋は不衛生になるため、虫が発生したり体調を崩しやすくなったりします。
周りがゴミに囲まれているため、動くこともままならず、ついには部屋で排泄してしまうことさえあります。
生きることに投げやりなため、自然と周囲と関わることもなく社会から孤立化した場合、このような状態でもなかなか異変に気づかれることがありません。
そのままゴミの中で埋もれて孤独死(孤立死)してしまう方も多いのです。
さらにやっかいなことに、セルフネグレクトの方は「放っておいてほしい」と、支援の手も拒むことがほとんど。
第三者が勝手に部屋を掃除すると攻撃的になる傾向があるので、支援がとても困難です。
最近では、対人関係が苦手で引きこもりがちになる若者も多く、セルフネグレクトの若年化も進んでいます。
実際に特殊清掃やゴミ屋敷清掃を請け負う業者でも、仕事を請け負った時に若者宅である案件が最近は増えてきているそうです。
精神的にも体力的にもゴミを片づける気力がなく、ゴミ屋敷になってしまった部屋で寝ていたら、ゴミが崩れてそのまま圧迫死してしまうケースすらあります。
このような場合は、家族が訪ねてきても察することができず、腐敗が進んで死臭がただようようになって初めて気づくこともあるのです。
現在全国では、毎年2万人以上が孤独死で亡くなっています。孤独死は高齢者に多く、東京23区では毎年4000人、大阪・神戸・京都でも2000人以上が孤独死を遂げている状況。その中でも8割以上はセルフネグレクトが原因なのだそう。
セルフネグレクトになるきっかけは、病気にかかった失望感や認知症、身内や親しい人の死去などが挙げられます。きっかけを見て分かる通り、セルフネグレクトは特別な症状ではなく、誰にでもなる可能性があるのです。
セルフネグレクトの人は、精神的に不安定になり、生活が荒れて、部屋がごみ屋敷になっているケースが非常に多くみられます。誰かが相談にのり、注意をしておけば孤独死を引き起こす確率は少なくなるでしょう。
しかし、セルフネグレクトの方は人との関わりを避けてしまう人がほとんど。セルフネグレクトの約4割は第三者からの支援の受け入れを拒否しているのです。そうなると、周囲の人も手を差し伸べることが難しくなります。
孤独死の大きな原因となっているセルフネグレクトを防ぐことで、近年増え続けている孤独死に歯止めをかけることは可能です。
高齢者の場合、介護支援者などの活動により約60%の方が支援を受け入れており、その結果、75%の方がセルフネグレクトを改善。その他は、施設に入居して解決しているといった状況です。残りの40%は支援を拒んでいるという調査結果が出ています。セルフネグレクトを改善するためには、地域で支えるネットワークが重要。
周囲の理解と支援をもって、生活環境を改善するきっかけを作っていけば、孤独死を減らすことができるはずです。
孤独死をした後の現場の片づけや消臭・脱臭作業は、精神的にも体力的にも非常に大変です。特に遺族の方からすると、本当に辛い作業になります。近年孤独死の増加に伴い、孤独死の現場を掃除してくれる業者が増えてきました。
そのほとんどが何でも屋、遺品整理業、建築業者、運送業の方々です。数は非常に少ないですが、中には特殊清掃を専門とした業者もあります。特に消臭・脱臭作業は専門スキルやノウハウがないと難しい作業なので、孤独死の掃除を完璧に行うなら、特殊清掃を専門にしている業者に任せた方が確実です。