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遺品整理はどうすればいい?

アパートなどの賃貸物件で孤独死や自殺が合った場合、遺族による遺品整理はどのように必要なのでしょうか。また相続放棄を考えている方への注意点を解説します。

借主が亡くなった場合、遺品整理が必要になる

故人が残した遺品整理はどうしたらよい?賃貸物件で借主が亡くなった場合、必要となるのが遺品整理です。

故人の家財や細々とした荷物まで片づけながら、貴重品や想い出の品を見つけ出したりするのはもちろんのこと、不用品は処分したりリサイクルしたりするなど、適切に整理・処分をしていく必要があります。

同居している人がいて、そのまま賃貸物件に住む場合は故人の荷物をゆっくりと片づけていけばよいのですが、例えば孤独死や自殺などの不慮の死を遂げた場合は、部屋を早く明け渡す必要があるため、ゆっくりと遺品整理ができません。

孤独死や自殺で借主が亡くなった場合の遺品整理はどうしたらよいのか、相続放棄における遺品整理の注意点もあわせて紹介します。

遺族による遺品整理のポイント

孤独死や自殺の場合、遺品整理はできる限り短時間で素早く行なわなければいけません。

その理由は次のようなことがあるためです。

  • 遺体の発見が遅れることで腐敗臭や虫が発生し、近隣から苦情が出ている
  • 大家に明け渡すまでの家賃がどんどん溜まってしまう
  • 遠方に遺族がいる場合、遺品整理のための時間を何度も取ることができない

他にも「自分たちで何とかしようとしたけれど、探しているものが見つからない」「遺品の量が多く、とても自分たちでは対処しきれない」といったケースも多いのが実状です。

遺族だけでは対処が厳しいと感じたら、遺品整理を行なっている業者に頼ることをおすすめします。

遺品整理業者は、まず現地で見積もりを行ない、残しておきたい品物や探している品物、供養したい品物、処分したいもの、リサイクルしたいものなどの希望を聞き取ります。

通常は現地で立ち合いのうえ、見積もりを行いますが、遠方で立ち合いが難しい場合は、事前に鍵を渡しておくことで対応できるケースが多く、当日の立ち合いができない場合でも詳しい報告書を送ることで対処してくれる業者もあります。

遺品を的確に仕分けして、処理すべきものは迅速に処理できるように体制が整っているため、遺族だけだと何日かけても終わらないような作業が1日で終わってしまうことも。

特に遠方のため遺品整理ができないと困っている方は、このような業者に任せることで負担をぐっと減らすことができます。

相続放棄している場合は遺品整理に注意

遺品整理にあたり、遺族がまず注意したいことが、故人の相続について「相続するのか」「相続しないのか」という点です。

一般的に、故人に借金などの負債が多い場合は、相続放棄によってマイナス財産を引き継がないようにするものです。

相続放棄をした場合は故人の遺産は相続できないため、遺品整理を行なうことはできません。

相続放棄を考えている、または相続放棄する可能性があるかもしれないのに遺品整理を行なった場合、法定単純承認になる可能性があります。

単純承認とは、簡単に言えば、プラスでもマイナスでも、すべての財産を相続するということです。

遺品整理によって財産を処分してしまった場合、この法定単純承認が適用されて相続放棄ができなくなってしまう可能性があるわけです。

ここでいったん、大家の立場に立ってみましょう。

大家が故人の遺族に相続放棄されてしまうと、通常の退去費用よりも高額になる原状回復費用などの請求をする相手がいなくなってしまいます。

さらに相続人も連帯保証人もいない場合、大家自身も相続人ではないため、貸している部屋の遺品を勝手に処分することができません。

このような場合は原則家庭裁判所に対応してもらうため、非常に手間や時間がかかってしまいます。

そのためできる限り、相続人に相続放棄をしてもらいたくはないものなのです。

過去の判例では、相続放棄をした遺族が故人の形見分けとして引き取った遺品の中に、市場価値のある品があったことで法定単純承認だとされ、相続放棄の効果を否定された事例が存在します。

大家側としても相続人に何とか費用負担をしてもらいため、遺品整理をしたことを理由に、法定単純承認に該当すると主張してくる可能性も考えられます。

相続放棄を考えている場合の遺品整理は、しっかり手順を考えて進めていかなくてはいけません。

遺品整理を扱っている業者はこのことについても詳しいので、相談をしながら進めていくほうが、のちのちトラブルにならずに安心です。

*このサイトに掲載している情報はあくまで個人で収集したものです(2017年8月現在)。詳しい情報については、かならず該当の公式ページをご確認ください。