大家や遺族の方が清掃するよりも、特殊清掃業者に頼むほうがよいのはなぜなのか、特殊清掃の必要性を調べてみました。
亡くなったことに気づかずに何日も放っておいた場合、特に問題となるのが死臭です。
「自分たちでも臭いくらい何とかできるのではないか」と考える管理人や遺族の方はいるかと思いますが、現場は思っている以上に壮絶であり、生身の身体で立ち入るには危険でさえあります。
例えば、残されている血液や体液に触ることで感染症を起こす、部屋に小バエが大量発生していると吸い込んでしまう、今まで嗅いだことのない現場の異臭によりしばらく食べることができなくなる、さまざまな洗剤の使用により塩素ガスが発生するなど。
特に臭いと虫については、遺体を放置していた期間の長さによっては一面を埋め尽くすほど増えていたりもするので、一般の方には耐えがたい空間です。
ただの清掃では対応しきれないこそ、特殊清掃に頼む必要性があるのです。
特殊清掃のスタッフは専用の防護服とマスクを着用することで、しっかりと感染対策をして作業を開始します。
では、防護服さえ用意できれば、一般の方でも作業できるのかというと、そんなことはありません。
特殊な現場でも作業ができるように、スタッフは過酷な環境でも清掃ができるための研修を受けています。
例えば、一般の方が強烈な悪臭が充満した部屋に入ると、ひどいダメージを受けます。
しばらく食事が喉を通らなくなったり、その場で胃の中身が逆流してしまうこともあります。
特に死臭は、部屋に1時間ほど滞在するだけで臭いが身体に染みつき、近くのコンビニにも行けなくなってしまうほどの独特な臭いですから、一般の方がその中で清掃をし続けるのはとても困難だと言わざるを得ません。
また、汚染物質は表面上だけでなく、床下や壁の内側まで染み込んでいることがほとんど。
表面だけをキレイにしたとしても臭いが残り続けるので、結局は特殊清掃専門の業者へ依頼することとなります。
とても素人では対応しきれないケースが多いので、プロである特殊清掃のスタッフにお任せすることが、安心でもあり確実なのです。
特殊清掃が行なわれる前には、なるべく部屋に入らないようにしましょう。
まず大前提として、発見者は必ず警察に通報してください。
それまでは一切手を触れないようにしなければなりません。
部屋に立ち入るのは、警察の許可が出てからが基本ですので、これだけは必ず覚えておいてください。
そもそも、慣れていない人が遺体を見るのは心理的な負担が多く、PTSDになってしまうケースもあるほどです。
また、感染予防の面からも、もし入室するなら特殊清掃の最終段階にするほうがよいでしょう。
細かなところでは、換気扇を使用しないこと。
あまりの臭いに、空気を吐き出させたくなるのが人情ですが、換気扇を回すことにより、その経路まで汚染されてしまうのです。
同じ理由で、部屋の扉を開け放つのも避けましょう。
腐敗臭というのは本当に強烈で、無関係の部屋まで臭いが染み付いてしまうためです。
また、特殊清掃前に遺品整理が必要となるケースがあります。
この場合、遺族の方が思い出の品や高価な品など遺品を持ちだすこともありますが、相続放棄を考えている方は要注意です。
相続放棄予定の方が故人の財産を処分すると、相続の意思があると見なされてしまい、相続放棄できなくなる恐れがあります。
トラブルを避けるためにも特殊清掃業者と相談をしながら遺品整理を進めていくのが無難です。